きっと、君に怒られるだろうけれど



しかも、さっきからクラスメイトの視線が痛いくらいに突き刺さっていて耐えられない。

早く会話を終わらせてしまいたい。
注目されるのは慣れていないし、嫌だ。

せっかく、彼と話すことができて心が躍るほど嬉しいはずなのに。

まあ、朝から騒がしく探し回っていた人物が見つかったとなれば注目を集めてしまうのも仕方ないか。


相手は女子から大人気の三春櫂だし。


そんなわたしとは正反対で、みんなからの視線を気にする素振りもなく、彼は薄い唇をゆっくりと開いた。


「俺、小芝さんの綴るポエムがすごく気に入ったんだ。よかったら友達になってくれない?」


柔らかく目を細めて、わたしの前に迷いなくすっと手を差し出した。


何を言い出すのやらと最初は思ったけれど、これはチャンスかもしれない。

君の幸せを見届けるための、神様がくれた最後のチャンスなんだ。

それなら、わたしは目の前に差し出された、わたしの手よりもひと回り大きくて細くて長い指をした綺麗なこの手を取るしか選択肢は残されていない。