きっと、君に怒られるだろうけれど



「こらー、拗ねないで。ここの問題教えてあげるから」


少し前かがみになって、わたしは目の前で伏せている黒い頭をポンポンと優しく撫でる。


あの時と変わらないふわふわの髪。


今日は雨が降っていて憂鬱な気分だったのに君と過ごしているうちに心の中を覆っている灰色の雲が消えて、優しい太陽の光が射し込むみたいに晴れやかな気分になっていく。


きっと、わたしは何年経っても君を忘れられないだろう。

この恋を忘れたくない。

心がそう必死に叫んでいる。


その瞬間、勢いよく櫂が頭を上げた。

もう少しで額がくっついてしまいそうな距離で、必然的に絡み合う視線。

ばくばくと心臓が早鐘を打ち始め、その音が鼓膜を揺らす。


硝子玉のように澄んだ瞳

くっきりとした二重の目

ニキビなんて一つもない羨ましいほど綺麗な肌

形のいい薄い唇


そのどれもがわたしの鼓動を高鳴らせる材料になっている。
まるで金縛りにあっているみたいにその体勢から動けなくて二人だけの時間が流れていく。