それなのに彼はわたしの言葉に弾けるように顔を上げて、
「いや!それは無理!」
と、何故だか焦ったように声を上げた。
「なんで無理なの?別に捨てても呪われやしないよ」
こんなのどこにでも売っているようなただの付箋だし。呪いなんてかかってないから安心して。
「そうじゃなくて!俺、ずっと君を探してた気がするんだ。君の言葉を見たときになんつーか、心が満たされたっていうか、心を鷲掴みにされて君のポエムに一目惚れしたんだよ」
さらりとした前髪の間からぎらぎらと熱意の篭った双眸を覗かせて、興奮気味に畳みかけてくる彼に少々圧倒されてしまい、しばらく言葉が出てこなくて押し黙る。
思っていたよりも熱意が相当すごくて目が丸くなってしまう。
だけど……ずっと探していたとか一目惚れしたとかそんなことを簡単に言わないでほしい、と心の中で文句を言う。
君はなんとも思っていなくたって、わたしの鼓動は嫌でも反応してしまって、さっきから心臓の音がうるさくて仕方ないんだから。
「そ、それはありがたいけどさ。別に趣味で綴っただけだから……」
やっと、声に出せたのは自分でもよく分からない弁解だった。



