きっと、君に怒られるだろうけれど



これでいい。わたしにできることなんてこれくらいしかないのだから。

わたしは西神のことを好きだという演技をするのだ。


それが今のわたしの役目。


この気持ちは最後まで押し殺すって決めたんだ。


「うん、普段はバカなんだけどね」

「佑香に言われるとなんかムカつくな」

「なによそれ、どういう意味?」


さすがは幼馴染。言い合いの息もピッタリ合っている。


「あ、西神。今日の授業ってこのページって言ってた?」


そんな二人の邪魔をしないように西神に声をかけて、自分の隣に招く。
すると、廊下に広がらないように歩いているから必然的に櫂と佑香ちゃんが並んで歩くことになる。

映画を観に行った日と同じ。
わたしが櫂の隣を堂々と歩くことなんて許されない。

チリリと焦げるように痛む心を無視してこれでいい、と何度も、何度も繰り返して自分に言い聞かせる。


「顔に”辛いです”って書いてあるぞ」

「……気のせいだよ」