きっと、君に怒られるだろうけれど



教科書とノートを机の中から取り出して、机の上に置きっぱなしにしていたペンケースも忘れずに持って急いで椅子から立ち上がる。


「珍しいね、美桜ちゃんが寝るなんて。櫂はいっつも寝てるから珍しくもなんともないけど」


移動先の教室へと歩き出してすぐに佑香ちゃんがわたしの顔を覗き込んで、視線を櫂へと向けながら言った。

わたしたちの前を歩く櫂と西神。
4人で遊びに行った日からわたしたちの距離は少しずつ縮まってきているように思える。


「おい、俺だって起きてるときあるわ」


佑香ちゃんの言葉に櫂が気に食わないとでも言いたげな表情を浮かべながら振り返った。


「いや、櫂はいつも寝てるでしょ」

「教科書見てたら眠くなるじゃん」

「それ認めてるのと同じだよ」

「佑香と同じで鋭いねぇ、美桜は。助けてくれよ、西神」


そう言いながら櫂は西神の肩をトントンと叩く。


「……俺に助ける義務はない」

「うわー、お前が一番ひどいわ。俺、泣いちゃうよ?」

「お前はよく泣くからな」


そんな二人のやり取りを後ろから見ながら、クスリと笑いが洩れた。