色んな人に今まで何度も言ってもらったことのある言葉で嬉しいはずなのに今の俺は素直に喜べない。
「……例えばどういうところが?」
気づけば、そんな言葉が口からこぼれていた。
そんなことを聞いたって何にもならないのに。
美桜を困らせるだけだ。
「櫂が切り取る世界って美しいだけじゃなくて、写真を見てると心があったまるっていうか、すごく優しいんだよね。それはきっと、誰よりも優しい櫂にしか撮れない写真だと思う」
彼女は春の陽だまりのように柔らかい笑顔をこぼしながら俺に言った。
その笑顔を瞳に映した瞬間、霧がかかっていた心に一筋の光が差し込んだ気がした。
美桜の優しい表情からその言葉に嘘偽りがないことが伝わってきたからなのかもしれない。
俺にしか撮れない写真、か。
そんなものが本当にあるかどうかは自分ではわからないけれど、彼女の言葉を聞いて沈んでいた気持ちが少しだけ浮上したような気がした。
「ありがと。なんか元気出たわ」
「元気なかったの?」



