苦手な数学の問題を聞こうと思って顔を上げた刹那、私は目を見張った。

そのまま晴葵の頭を見つめる。

私の視線に気づいたのか、晴葵が不思議そうに顔を上げた。

「どうかした?」

「あ、いや」

「そう」

どうか、はしている。

ただ、こんなこと、簡単に聞けない。

私も混乱しているのだから。

目の前の状況が信じられないのだから。

簡単には言えない。

晴葵が、透けているなんて。