「もしもし」

私は晴葵を見守る。

「あ、今ちょっと席外してて」

「さあ、今日は無理だと思いますよ、忙しいんで」

「ああ、はい。じゃあ」

通話の切れたスマホが私の手に戻ってくる。

「今度電話かかってきても、出ちゃだめだよ」

呆然とした私をおいて晴葵は進んでいく。

「ほら、おいてかれちゃってる、行くよ」

「あ、うん」

私は小走りで再び晴葵の隣に並んだ。