新そよ風に乗って ⑦ 〜Saudade〜

「まあ、お前がどうしても一緒に入りたいっていうんだったら、いいけど?」
ま、まさか。
両手を振りながら、思いっきり首を振って拒否の姿勢を見せた。
「フッ……。 じゃあ、早く此処から出ていかないと。 俺、脱ぎたいんだけど」
「あっ……えっ? キャッ……」
「ハハッ……大丈夫か?」
椅子にぶつかって躓きながら、慌てて脱衣場から飛び出した。
もう!
高橋さんの、意地悪。
絶対、私で楽しんでるよね。
そうは言ったものの、部屋の中で居場所に困ってしまい、窓から景色を見るわけにもいかず、露天風呂からいちばん遠い逆角の隅に座っていた。
すると、テーブルの上に置かれた携帯のバイブ音が、また響き出した。
多分、高橋さんがお風呂に入るので置いていったのだろう。
さっきもそうだったし、朝のサービスエリアでもそうだった。
何故、電話に出ないんだろう?
みんな同じ人からの電話なのかな。
いったい、誰からの電話……・若しくは、メールなのかな?
余計な詮索はしないようにしようとは思うけれど、つい気になってしまう。
でも、他人の携帯はその人のものだから絶対見ないし、自分のも見られたくない。
第一、高橋さんのことだから、画面にロックを掛けているだろうし……。
そのうち、バイブ音はしなくなっていた。
お風呂から出たら、高橋さんに電話鳴っていたこと、一応伝えた方がいいよね。 言わない方がいいのかな。 でも、やっぱり伝えた方がいい気がする。
不安な気持ちと、真相を知りたい気持ちと、電話が鳴っていたことを伝えた方がいいのかどうか、思いが拮抗を続けていると高橋さんがお風呂から出てきた。
「最高に気持ち良かったぞ。 お前も、入っちゃえよ」
「えっ……でも……」
あっ……。