新そよ風に乗って ⑦ 〜Saudade〜

「まゆみ。 声が大きいって。 誰かに聞かれてたら、どうするの?」
「大丈夫だって」
こちらが、ハラハラしながら周りの様子を窺ってしまう。
「そうだ! 陽子。 温泉に行くって、言ってたよね? 何時、行くの?」
「うん。 2月の6日、7日」
そうなんだ。
2月6日、7日の土、日は、温泉に高橋さんと行くことになっている。
考えただけで、ワクワクしちゃってジェットコースター並みに胸がヒューンとなってしまう。
「ねぇ、まゆみ。 もう直ぐ高橋さんのお誕生日なんだけど……何、あげたらいいと思う?」
20日は、高橋さんのお誕生日。
去年は、明良さんの別荘に行ってお祝いしたんだった。
1年経つのって、早いな。
だからこそ、今年は絶対に何かプレゼントしたかった。
「ハイブリッジ、誕生日なんだ。 何歳?」
「29」
「見えないねぇ」
「見えないかなぁ?」
アッハッハ……。
まゆみと、思わず顔を見合わせて大笑いしてしまった。
高橋さんのへのプレゼントを考えながらも、温泉旅行まで日が迫ってきてしまい、そのことで頭がいっぱいだった。
木曜の夜から、旅行の準備に取り掛かった。
なるべく荷物を減らしたつもりだったが、おやつ等を買って詰めたらやはり結構な量になってしまった。
そして、迎えた土曜日。
昨夜は、興奮してあまりよく眠れなかったが、嬉しさの方が勝ってテンションも上がっている。
朝一番で、高橋さんが迎えに来てくれたが、冬の朝の6時はまだ暗くて思った以上に寒い。
雪がある所の方が冬の温泉らしくていいのだが、高橋さん曰く、雪道だと車が大変だからということで雪が降るか、降らないかのギリギリの場所を選択したんだそう。
全て高橋さんにお任せだったので、何も分かっていない私は申しわけないのだが、高橋さんと一緒に居られるのならば何処でもいいと思っていた。
やっと太陽が昇った頃、途中のサービスエリアに寄って朝ご飯を食べることにした。
頑張って、お弁当を作ってきて良かった。
暖かいお茶と一緒に、おにぎりを頬張る。
「美味い! やっぱりこういう時は、おにぎりだよなぁ」
高橋さんに、美味い! と言ってもらえて嬉しい。
おにぎりの1個目を食べ終わってお茶を飲んでいると、高橋さんのポケットで携帯のバイブが振動している音が聞こえた。
高橋さんがポケットから携帯を出して、何故か画面を暫く凝視していたが、結局電話には出ずにまたポケットに携帯を入れてしまった。
今のは、メール?
電話?