黙って見ていた私の前に、高橋さんが立った。
「遅くなるから、もう帰った方がいい。 下まで送っていくぞ。 ヤキモチ妬きの、お嬢さん」
ヤキモチ妬きの、お嬢さんって……。
「べ、別に、そんなことないですから」
「フッ……なぁーにムキになってるんだか。 ほら、行くぞ」
高橋さんが、ドアの方へと歩きかけた。
「嫌……です」
まだ、帰りたくない。
やっと、この連休の悶々とした思いが解消されつつある時に、もう帰らなければならないなんて。
先ほどの看護師さんのことも気になって、更に気持ちを煽っているのかもしれない。
その声に、高橋さんが振り向いて私を見た。
「私……まだ帰りたくないです」
すると、高橋さんが私の髪を掻き分けた。
「俺だって、お前を帰したくはない」
高橋さん……。
嬉しさに戸惑いから視線を逸らすと、ふと視界に入ったものがあった。
そうだ!
「高橋さん。 今夜、此処に泊まっちゃ駄目ですか?」
そう言いながら私が向けた視線の先を、辿るようにして高橋さんも見た。
そして、お互いに同じ場所へと視線を向けた。
「お前……」
その視線の先には、ソファーベッドが置いてあった。
高橋さんが、視線をゆっくりとこちらに戻した。
「痛っ……」
同時に、左手の拳で私の頭を軽く叩いた。
「なぁーに、言ってんだか。 無理に決まってるだろ? 重病でもない限り、付き添いなんて認められないんだから」
真面目に言ったつもりだったのに、まるで冗談で言ったみたいに取られてしまったようだった。
「そんな……私、ほん……ンッ……ンンッ……」
フワッと、高橋さんの香りがしたなと思った途端、会話の途中だったのに高橋さんがキスをした。
突然のことに、心臓が飛び出そうな勢いでアタックしていて、高橋さんの唇が静かに離れても、まだドキドキしていた。
「金曜には、会える。 それまで我慢しろ。 分かった?」
顎を持たれたまま、肯定しか許されないような状況に仕方なく頷いた。
「いい子だ」
高橋さんは、クシャッと私の頭を撫でると優しく微笑んだ。
「でも……それなら、明日も来ていいですか?」
高橋さんを、懇願するように見上げた。
すると、高橋さんは僅かな時間だったが、目を瞑りながら口元を緩ませた。
「いいよ! と、言ってやりたいところだが……明日も俺は居ないし、明日、明後日は前倒しで締めが忙しいと思うから、中原を助けてやってくれ。 いいな?」
痛いところを突かれ、口が尖ってしまった。
中原さんが忙しいことも知っているから、尚更だ
「そんな、口尖らせないの。 笑って、笑って」
高橋さんが、両頬をわざと引っ張った
「ふにっ……」
「ハハッ……。 お前は、本当に緊張感のない奴だな」
「もう! 誰が、いけないんですか? プッ……」
不満を言いながらも、何故か笑ってしまった。
この何でもない高橋さんとのひとときが、至福の時に感じられる。
「ほら。 どんどん遅くなるから、行くぞ」
それでも、そんなひとときを容赦なくぶち壊すのも、高橋さんだったりもするんだけれど……。
エレベーターに乗って面会出入り口のところまで、高橋さんが一緒に来てくれた。
「遅くなるから、もう帰った方がいい。 下まで送っていくぞ。 ヤキモチ妬きの、お嬢さん」
ヤキモチ妬きの、お嬢さんって……。
「べ、別に、そんなことないですから」
「フッ……なぁーにムキになってるんだか。 ほら、行くぞ」
高橋さんが、ドアの方へと歩きかけた。
「嫌……です」
まだ、帰りたくない。
やっと、この連休の悶々とした思いが解消されつつある時に、もう帰らなければならないなんて。
先ほどの看護師さんのことも気になって、更に気持ちを煽っているのかもしれない。
その声に、高橋さんが振り向いて私を見た。
「私……まだ帰りたくないです」
すると、高橋さんが私の髪を掻き分けた。
「俺だって、お前を帰したくはない」
高橋さん……。
嬉しさに戸惑いから視線を逸らすと、ふと視界に入ったものがあった。
そうだ!
「高橋さん。 今夜、此処に泊まっちゃ駄目ですか?」
そう言いながら私が向けた視線の先を、辿るようにして高橋さんも見た。
そして、お互いに同じ場所へと視線を向けた。
「お前……」
その視線の先には、ソファーベッドが置いてあった。
高橋さんが、視線をゆっくりとこちらに戻した。
「痛っ……」
同時に、左手の拳で私の頭を軽く叩いた。
「なぁーに、言ってんだか。 無理に決まってるだろ? 重病でもない限り、付き添いなんて認められないんだから」
真面目に言ったつもりだったのに、まるで冗談で言ったみたいに取られてしまったようだった。
「そんな……私、ほん……ンッ……ンンッ……」
フワッと、高橋さんの香りがしたなと思った途端、会話の途中だったのに高橋さんがキスをした。
突然のことに、心臓が飛び出そうな勢いでアタックしていて、高橋さんの唇が静かに離れても、まだドキドキしていた。
「金曜には、会える。 それまで我慢しろ。 分かった?」
顎を持たれたまま、肯定しか許されないような状況に仕方なく頷いた。
「いい子だ」
高橋さんは、クシャッと私の頭を撫でると優しく微笑んだ。
「でも……それなら、明日も来ていいですか?」
高橋さんを、懇願するように見上げた。
すると、高橋さんは僅かな時間だったが、目を瞑りながら口元を緩ませた。
「いいよ! と、言ってやりたいところだが……明日も俺は居ないし、明日、明後日は前倒しで締めが忙しいと思うから、中原を助けてやってくれ。 いいな?」
痛いところを突かれ、口が尖ってしまった。
中原さんが忙しいことも知っているから、尚更だ
「そんな、口尖らせないの。 笑って、笑って」
高橋さんが、両頬をわざと引っ張った
「ふにっ……」
「ハハッ……。 お前は、本当に緊張感のない奴だな」
「もう! 誰が、いけないんですか? プッ……」
不満を言いながらも、何故か笑ってしまった。
この何でもない高橋さんとのひとときが、至福の時に感じられる。
「ほら。 どんどん遅くなるから、行くぞ」
それでも、そんなひとときを容赦なくぶち壊すのも、高橋さんだったりもするんだけれど……。
エレベーターに乗って面会出入り口のところまで、高橋さんが一緒に来てくれた。


