それから暫く目を閉じていたが、なかなか寝付けない。
目を閉じていても、頭の中であのオルゴールの音色と遠い昔の会話が、思い出したくないのに何度も蘇ってきてしまう。
気持ちを落ち着かせようと、隣に寝ている高橋さんの顔を見た。
暗闇の中、目が慣れていたのでスッと鼻筋の通った綺麗な横顔が見て取れる。
綺麗な横顔……。
「何?」
うわっ!
目を閉じていたはずの高橋さんが、いきなりこちらを見た。
「あ、あの……いえ、その……男の人って、やっぱり女性が拒んだら嫌いになるものなんですか?」
ハッ!
いきなり、何てことを聞いてるんだろう。
私の肩越しに一点を見つめていた高橋さんだったが、唐突な問いにこちらに視線をスッと合わせた。
「それは、相手に対する思い入れにもよるんじゃないのか?」
「思い入れ?」
だとすると……。
「相手のことがより大切だったら、きっとそんな考えにも及ばないだろうし、思いもしないだろう。 それに……」
「じゃあ、私は……そんなものだったってこと……ですね。 あの人……」
あの人にとって、私はそれだけの相手だったんだと言い掛けてやめた。
高橋さんの前で、こんなことを言うのは憚られた。
過ぎた、昔のことを……でも……。
隣に居る高橋さんのことを思うと居たたまれなくなって、ベッドから起き上がろうとしたが、それは敵わなかった。
「高橋さん。 離して……」
「まだ、話は終わってない」
マットに引き戻され、上から両肩を押さえられてしまった。
「嫌! 離して」
「いいから、落ち着け! 大丈夫だから」
薄々、自分でも分かっていた。
気づいていたというか、それでも今まで認めたくなくて……。 認めてしまったら、あの6年間が全て否定されてしまいそうで怖かったから。
「嫌……もう、私……嫌です。 分かっていたけれど、やっぱり嫌……うっ……ヒクッ……」
高橋さんが、暗闇で泣き続ける私を抱きしめてくれている。
何度も、何度も、 「大丈夫だから」 と、言い続けてくれて。
しかし、流石の高橋さんでも真上から抱きしめてくれていたので、そんなに上から体重を掛けられないから態勢が辛くなったのか。 私を抱えたまま、高橋さんは横向きになった。
動いた空気に、密着した体の温もりと共に仄かに薫る高橋さんの香りが鼻腔を刺激して、その香りに冷静さと安らぎを覚えた。
このままじゃ、単なる我が儘なだけで、高橋さんだって何が何だか分からないはず。
言わなければ……。
勇気を出して、話さなきゃ。
目を閉じていても、頭の中であのオルゴールの音色と遠い昔の会話が、思い出したくないのに何度も蘇ってきてしまう。
気持ちを落ち着かせようと、隣に寝ている高橋さんの顔を見た。
暗闇の中、目が慣れていたのでスッと鼻筋の通った綺麗な横顔が見て取れる。
綺麗な横顔……。
「何?」
うわっ!
目を閉じていたはずの高橋さんが、いきなりこちらを見た。
「あ、あの……いえ、その……男の人って、やっぱり女性が拒んだら嫌いになるものなんですか?」
ハッ!
いきなり、何てことを聞いてるんだろう。
私の肩越しに一点を見つめていた高橋さんだったが、唐突な問いにこちらに視線をスッと合わせた。
「それは、相手に対する思い入れにもよるんじゃないのか?」
「思い入れ?」
だとすると……。
「相手のことがより大切だったら、きっとそんな考えにも及ばないだろうし、思いもしないだろう。 それに……」
「じゃあ、私は……そんなものだったってこと……ですね。 あの人……」
あの人にとって、私はそれだけの相手だったんだと言い掛けてやめた。
高橋さんの前で、こんなことを言うのは憚られた。
過ぎた、昔のことを……でも……。
隣に居る高橋さんのことを思うと居たたまれなくなって、ベッドから起き上がろうとしたが、それは敵わなかった。
「高橋さん。 離して……」
「まだ、話は終わってない」
マットに引き戻され、上から両肩を押さえられてしまった。
「嫌! 離して」
「いいから、落ち着け! 大丈夫だから」
薄々、自分でも分かっていた。
気づいていたというか、それでも今まで認めたくなくて……。 認めてしまったら、あの6年間が全て否定されてしまいそうで怖かったから。
「嫌……もう、私……嫌です。 分かっていたけれど、やっぱり嫌……うっ……ヒクッ……」
高橋さんが、暗闇で泣き続ける私を抱きしめてくれている。
何度も、何度も、 「大丈夫だから」 と、言い続けてくれて。
しかし、流石の高橋さんでも真上から抱きしめてくれていたので、そんなに上から体重を掛けられないから態勢が辛くなったのか。 私を抱えたまま、高橋さんは横向きになった。
動いた空気に、密着した体の温もりと共に仄かに薫る高橋さんの香りが鼻腔を刺激して、その香りに冷静さと安らぎを覚えた。
このままじゃ、単なる我が儘なだけで、高橋さんだって何が何だか分からないはず。
言わなければ……。
勇気を出して、話さなきゃ。


