「時として音の世界は、その人の糧になるほどのパワーをくれることもあれば、その時の情景が浮かんでメロディが鮮明に記憶を呼び起こしてしまうぐらい、残酷に聴こえる時もある」
さっき思い出してしまったのは、まさしく後者の方だ。
「誰にでも言えることだが、恐らくそれは一生ついてまわるものなんだと思う。 そうかといって、音のすべてを封印出来るわけでもないだろ?」
正論なだけに、胸から響いて聞こえる高橋さんの言葉を噛みしめながら黙って頷いた。
「だとしたら、音楽に限らず自分の歩んできた道を振り返った時、そんな辛いと思えることもあったが、それも今となっては全て無駄じゃなかったと思えるようになれるといいよな?」
どうリアクションしてよいのか、返答に困っていると、不意に高橋さんが笑った。
「フッ……。 これは、そっくりそのまま俺にも言えることなんだけどな」
高橋さん……。
きっと、私を励まそうとしてくれているんだ。
だから、そんな自分のことのように言って……。
「高橋さん」
「ん?」
少しくぐもった高橋さんの声が、押し当てている耳に響く。
「高橋さん……。 高橋さん……高橋さん」
愛しさに比例して、繰り返し名前を呼んだ。
私よりも、もっともっと辛いはずなのに。
仁さんが言っていたように、背負って来たものが私の過去なんかとは比べものにならないぐらいの哀しみや、苦しみがあったはず。
「何だよ? 減るから、何度も呼・ぶ・な」
「な……ウグ……グッ……」
何で、今そんなことを言うのだろうと思って顔を上げようとしたが、その前に高橋さんが抱きしめる腕にギュッと力を込めたので、顔を胸に押しつけられてしまった。
「ほら、もう遅いから早く寝ろ。 NEW YORKから帰ってきてまだ1週間も経っていないんだから、疲れもそろそろ出てくる」
そうだった。
月曜にニューヨークから帰ってきて、まだ土曜日。
厳密には、もう日曜日になっているけれど。
いくら出張とはいえ、高橋さんと過ごしたNEW YORKでの2週間が、かなり前のように感じられる。
静かに高橋さんの体が離れ、隣に横になった。
さっき思い出してしまったのは、まさしく後者の方だ。
「誰にでも言えることだが、恐らくそれは一生ついてまわるものなんだと思う。 そうかといって、音のすべてを封印出来るわけでもないだろ?」
正論なだけに、胸から響いて聞こえる高橋さんの言葉を噛みしめながら黙って頷いた。
「だとしたら、音楽に限らず自分の歩んできた道を振り返った時、そんな辛いと思えることもあったが、それも今となっては全て無駄じゃなかったと思えるようになれるといいよな?」
どうリアクションしてよいのか、返答に困っていると、不意に高橋さんが笑った。
「フッ……。 これは、そっくりそのまま俺にも言えることなんだけどな」
高橋さん……。
きっと、私を励まそうとしてくれているんだ。
だから、そんな自分のことのように言って……。
「高橋さん」
「ん?」
少しくぐもった高橋さんの声が、押し当てている耳に響く。
「高橋さん……。 高橋さん……高橋さん」
愛しさに比例して、繰り返し名前を呼んだ。
私よりも、もっともっと辛いはずなのに。
仁さんが言っていたように、背負って来たものが私の過去なんかとは比べものにならないぐらいの哀しみや、苦しみがあったはず。
「何だよ? 減るから、何度も呼・ぶ・な」
「な……ウグ……グッ……」
何で、今そんなことを言うのだろうと思って顔を上げようとしたが、その前に高橋さんが抱きしめる腕にギュッと力を込めたので、顔を胸に押しつけられてしまった。
「ほら、もう遅いから早く寝ろ。 NEW YORKから帰ってきてまだ1週間も経っていないんだから、疲れもそろそろ出てくる」
そうだった。
月曜にニューヨークから帰ってきて、まだ土曜日。
厳密には、もう日曜日になっているけれど。
いくら出張とはいえ、高橋さんと過ごしたNEW YORKでの2週間が、かなり前のように感じられる。
静かに高橋さんの体が離れ、隣に横になった。


