新そよ風に乗って ⑦ 〜Saudade〜

「名付けて、明良特製おにぎりピザ」
「ボキャブラリーの乏しいこと、極まりないな」
仁さんが、すかさず突っ込んでいる。
「別に構わん。 それで、メシ喰ってるお前と違うんだい」
本当に、明良さんと仁さんも絶妙のコンビだな。
昔からのそういう友達が居て、羨ましい。
「陽子ちゃんも、食べて、食べて-。早く確保しないと、この遠慮という二文字を知らない馬2頭が食べちゃうから、直ぐなくなっちゃうよ。 この学習能力のない、馬2頭は」
明良さんが、そう言ってお皿に取ってくれた1個を頬張った
「美味しい! これ、どうやって作るんですか?」
また、直ぐレシピを聞いてしまう私も、どうかと思うのだが。
「ん? おにぎりの上に、さっき残った小エビとチーズとピーマンをのせて焼いただけなんだ。 醤油とマッチして、結構いけるんだよね。 酒のつまみにもなるし、おにぎりだから腹の足しにもなるし。 よく俺も小腹が空いた時、作るんだ。 焼きおにぎりみたいで、美味しいでしょ?」
「はい。 私の好きな味です」
あっさりしているから、お腹がいっぱいでも食べられてしまう。
とても、美味しかった。
「もっと、取って食べて。 そこの2頭に、食べられちゃう前にさ」
「ありがとうございます。 でも、もうお腹いっぱいなんですよぉ」
せっかく作ってくれた明良さんには悪いが、お腹がいっぱいで、はち切れそうだった。
「駄目だよ。 もっと体力付けないと、貴博の相手は出来ないよ?」
エッ……。
明良さんを見ると、意味深な笑みを浮かべている。
「イテッ! 何すんだよ、仁」
仁さんが、間髪入れずに明良さんの後頭部を叩いた。
「お前は、ひと言多いの」
堪らず、恥ずかしくて俯いてしまった。
うわぁ。
きっと今、顔が真っ赤だと思う。
「さて、そろそろあみだくじでもしようぜ」
た、助かった。
話を逸らせて貰えて、良かった。
高橋さんが席を立つと、机の引き出しからA4サイズの紙を取り出してきた。
何?
あみだくじって……昨日、高橋さんが言っていたことかな。
その様子を窺っていると、高橋さんがペンで4本の縦線を引き、次に横線を引いてあみだくじを作り始めた。
1番下に4人の名前を書いた時点で、何を始めるのかが分かった。
きっと、プレゼント交換のあみだくじだ。
「公平性を期すために、みんな横線を入れてくれ」
「あいよ」
「これで、吉と出るか」
明良さんと仁さんが、それぞれ横線を書き足した。
「はい。 陽子ちゃん」