「お前……」
「私……ハァハァ……高橋さん。 死なないで! 高橋さん。死んじゃ嫌!」
全力で走ってきたので息が切れていたが、その勢いでそのまま高橋さんに抱きついた。
ああ……この香り。 高橋さんの香りがする。
この香りに、これからもずっと包まれていたい。 この温もりに、触れていたい。
そう思いながら高橋さんの胸の中で泣いていると、高橋さんの両手が私の背中にそっと触れているのが分かった。 本当は抱きしめて欲しかったけれど、高橋さんに抱きついて胸に飛び込めただけで、もうそれだけで十分だった。
「お前さあ……何度も言わせるなよな?」
優しく包み込むような声が高橋さんの胸から耳に響いてきて、思わず安堵してしまう。
エッ……。
それと同時に、高橋さんのそのひと言で無意識に閉じていた目を開けると、高橋さんが両腕を持って自分の胸から私を離した。
「だから、俺は病気でもないし、死なないって。 何度、言わせりゃいいんだ?」
「だって、仁さんが……」
ハッ!
どうしよう。 口が滑っちゃった。
「ふぅーん……」
うっ。
高橋さんの顔を見ると、思いっきり辛辣な言葉を発する時と同じような冷ややかな視線で私を睨んでいた。
「あっ。 い、いえ……その……」
多分、もうばれてしまっていると思うが、一応言い訳をしようと思った。
「フッ……お前には、敵わないな」
高橋さん?
うわっ。
そう言うと、私を抱き上げて高橋さんが座っているベッドの隣りに座らせてくれた。
何気なく病室を見渡すと、サイドキャビネットの上に置かれた花瓶に、私が昨日持って来たピンクのバラが生けられていた。
あれ?
ミサさんが持って来た、あの立派な赤いバラはどうしたんだろう? 私が持って来た5本のピンクのバラなんかよりもゴージャスで素敵なバラだった。 あれを見ただけで、もう何も言えなかった。 高橋さんが、赤いバラが好きだったことを知っていたミサさん。 そんなことも知らない私は、ピンクのバラを選んで持って来た。 きっと、私が知らないことをまだ沢山ミサさんは知っているのだろう。 敵わない。
でも、今はそのことよりも、高橋さんの病気のことの方が重要で心配だった。 全ては、高橋さんが居てこそのことだから。 悪い病気だったらと思うと、もう居ても立っても居られない。
「話してやるよ。 でもだからと言って、俺の気持ちは変わらないが」
「高橋さん……」
「私……ハァハァ……高橋さん。 死なないで! 高橋さん。死んじゃ嫌!」
全力で走ってきたので息が切れていたが、その勢いでそのまま高橋さんに抱きついた。
ああ……この香り。 高橋さんの香りがする。
この香りに、これからもずっと包まれていたい。 この温もりに、触れていたい。
そう思いながら高橋さんの胸の中で泣いていると、高橋さんの両手が私の背中にそっと触れているのが分かった。 本当は抱きしめて欲しかったけれど、高橋さんに抱きついて胸に飛び込めただけで、もうそれだけで十分だった。
「お前さあ……何度も言わせるなよな?」
優しく包み込むような声が高橋さんの胸から耳に響いてきて、思わず安堵してしまう。
エッ……。
それと同時に、高橋さんのそのひと言で無意識に閉じていた目を開けると、高橋さんが両腕を持って自分の胸から私を離した。
「だから、俺は病気でもないし、死なないって。 何度、言わせりゃいいんだ?」
「だって、仁さんが……」
ハッ!
どうしよう。 口が滑っちゃった。
「ふぅーん……」
うっ。
高橋さんの顔を見ると、思いっきり辛辣な言葉を発する時と同じような冷ややかな視線で私を睨んでいた。
「あっ。 い、いえ……その……」
多分、もうばれてしまっていると思うが、一応言い訳をしようと思った。
「フッ……お前には、敵わないな」
高橋さん?
うわっ。
そう言うと、私を抱き上げて高橋さんが座っているベッドの隣りに座らせてくれた。
何気なく病室を見渡すと、サイドキャビネットの上に置かれた花瓶に、私が昨日持って来たピンクのバラが生けられていた。
あれ?
ミサさんが持って来た、あの立派な赤いバラはどうしたんだろう? 私が持って来た5本のピンクのバラなんかよりもゴージャスで素敵なバラだった。 あれを見ただけで、もう何も言えなかった。 高橋さんが、赤いバラが好きだったことを知っていたミサさん。 そんなことも知らない私は、ピンクのバラを選んで持って来た。 きっと、私が知らないことをまだ沢山ミサさんは知っているのだろう。 敵わない。
でも、今はそのことよりも、高橋さんの病気のことの方が重要で心配だった。 全ては、高橋さんが居てこそのことだから。 悪い病気だったらと思うと、もう居ても立っても居られない。
「話してやるよ。 でもだからと言って、俺の気持ちは変わらないが」
「高橋さん……」


