「えっ? 違うの?」
「そ、そうですよ」
敢えて、明るく振る舞って見せた。
「びっくりしたぁ。 脅かさないでよ」
「明良さん。 何故、高橋さんは外科に入院されているんですか? この前は、内科だったはずですよね? 高橋さん。 どこか、悪いんですか?」
「……」
明良さんが黙ったまま、傍にあるホワイトボードに置いてある何本かのペンの向きを揃えている。
「明良……さん?」
怖い。 この沈黙が、凄く嫌だった。
何?
いったい、何を隠しているの?
「陽子ちゃんも知っていると思うけど……医者には守秘義務があってね……」
そう言いながら、明良さんはホワイトボードに 【 守 】 という時を書いて丸で囲んだ。
「それが、たとえ陽子ちゃんであっても、言えないこともあるんだよ」
「そんな……高橋さん。 そんなに、悪いんですか?」
守秘義務という言葉の響きがとても怖いものに感じられ、両足がガクガクと震えてきた。
ああ……だから私と別れるって。 もしそれが本当だとすると、話の辻褄がすべて見事に合ってしまう。
検査入院後、結果が出て突然別れを告げられ……そして今、また入院している。
高橋さん……。
高橋さんの行動と言動の経緯が、病気にすべて結びついてしまうことに気づき、心が震えて涙が零れた。
「あっ。 あの、陽子ちゃん。 そ、そんな、泣かないでって」
慌てた明良さんに言われて首を横に振ったが、その振った意味が大丈夫ですという意味なのか。 それともこの現況に泣かないなんて無理だという意味なのか、自分でもよく分からなかった。
「とにかく、病室に行こう。 貴博、今なら居るから。 涙……拭いていかないと、貴博が心配するよ」
頷きながらハンカチで涙を拭いて明良さんと一緒に部屋を出ると、高橋さんの居る病室まで案内してもらった。
1つの病室のドアの前で、明良さんが立ち止まった。
札を見ると、 【 高橋 貴博殿 】 と、書いてある。
ああ。
この引き扉の向こうに高橋さんが居る。
「そ、そうですよ」
敢えて、明るく振る舞って見せた。
「びっくりしたぁ。 脅かさないでよ」
「明良さん。 何故、高橋さんは外科に入院されているんですか? この前は、内科だったはずですよね? 高橋さん。 どこか、悪いんですか?」
「……」
明良さんが黙ったまま、傍にあるホワイトボードに置いてある何本かのペンの向きを揃えている。
「明良……さん?」
怖い。 この沈黙が、凄く嫌だった。
何?
いったい、何を隠しているの?
「陽子ちゃんも知っていると思うけど……医者には守秘義務があってね……」
そう言いながら、明良さんはホワイトボードに 【 守 】 という時を書いて丸で囲んだ。
「それが、たとえ陽子ちゃんであっても、言えないこともあるんだよ」
「そんな……高橋さん。 そんなに、悪いんですか?」
守秘義務という言葉の響きがとても怖いものに感じられ、両足がガクガクと震えてきた。
ああ……だから私と別れるって。 もしそれが本当だとすると、話の辻褄がすべて見事に合ってしまう。
検査入院後、結果が出て突然別れを告げられ……そして今、また入院している。
高橋さん……。
高橋さんの行動と言動の経緯が、病気にすべて結びついてしまうことに気づき、心が震えて涙が零れた。
「あっ。 あの、陽子ちゃん。 そ、そんな、泣かないでって」
慌てた明良さんに言われて首を横に振ったが、その振った意味が大丈夫ですという意味なのか。 それともこの現況に泣かないなんて無理だという意味なのか、自分でもよく分からなかった。
「とにかく、病室に行こう。 貴博、今なら居るから。 涙……拭いていかないと、貴博が心配するよ」
頷きながらハンカチで涙を拭いて明良さんと一緒に部屋を出ると、高橋さんの居る病室まで案内してもらった。
1つの病室のドアの前で、明良さんが立ち止まった。
札を見ると、 【 高橋 貴博殿 】 と、書いてある。
ああ。
この引き扉の向こうに高橋さんが居る。


