「高橋さん?」
居るはずのない、高橋さんが出ていったドアを見つめながら呼びかけた。
もう……多分、もうこのドアを高橋さんが開けることはないと思うと、先ほどまで他人事のように思えていた感情が一気に実感に変わって吹き出した。
「高橋さん……高橋……さん……どうして……高橋さん……教え……て……応えてよ……高橋さん」
玄関に伏せたまま、ずっと泣き続けていた。
今まで、当たり前のようにしていたことや、当たり前に感じていたことを無くしてしまうと、その直後は何も感じないのに、人間というのは不思議なもので時間が経てば経つほど失ったものの大きさを実感して何もする意欲がなくなり、時が止まってしまったように何を見ても思考が働かないせいか、周りのもの全てが寒色に見える。
カーテンを閉め切った暗闇の中で、Citrus Gingerの小瓶をアロマキャンドルの灯りに翳して気持を落ち着けようと試みる。 暗闇の中に居るから気持が沈むのかもしれないと、ベランダに出て外を眺めて見たが、高橋さんがもう隣には居てくれないと思うと、全てのものが輝いて見えないし、良いお天気なのに陽射しの暖かさも眩しさも感じられない。
何で、別れを言いに来たの?
私のことが、嫌いになった?
やっぱり、どうしてもその理由を知りたい。
でも、それは恐らく応えてはもらえないことも、よく分かっている。
こんな気持ちのまま月曜日に会社で高橋さんと、どうやって顔を合わせればいいんだろう
その時の重たい空気と高橋さんの漆黒の瞳の鋭い視線を思い出したら、また涙が溢れてきた。
何もする気になれない。 何も食べたくない。
ずっと高橋さんの帰った後、その時のことを思い出しながら部屋から一歩も出ずにいる。
何故、あの時……。
高橋さんが体を欲しがった時、どうして拒んだりしたんだろう。 悔やんでも、悔やみきれない。 想い出しては、後悔ばかりしている。
会いたい……高橋さんに。
月曜日。 その会いたい一心で、重過ぎる心と気怠い体を引きずりながら、会社へと向かった。
居るはずのない、高橋さんが出ていったドアを見つめながら呼びかけた。
もう……多分、もうこのドアを高橋さんが開けることはないと思うと、先ほどまで他人事のように思えていた感情が一気に実感に変わって吹き出した。
「高橋さん……高橋……さん……どうして……高橋さん……教え……て……応えてよ……高橋さん」
玄関に伏せたまま、ずっと泣き続けていた。
今まで、当たり前のようにしていたことや、当たり前に感じていたことを無くしてしまうと、その直後は何も感じないのに、人間というのは不思議なもので時間が経てば経つほど失ったものの大きさを実感して何もする意欲がなくなり、時が止まってしまったように何を見ても思考が働かないせいか、周りのもの全てが寒色に見える。
カーテンを閉め切った暗闇の中で、Citrus Gingerの小瓶をアロマキャンドルの灯りに翳して気持を落ち着けようと試みる。 暗闇の中に居るから気持が沈むのかもしれないと、ベランダに出て外を眺めて見たが、高橋さんがもう隣には居てくれないと思うと、全てのものが輝いて見えないし、良いお天気なのに陽射しの暖かさも眩しさも感じられない。
何で、別れを言いに来たの?
私のことが、嫌いになった?
やっぱり、どうしてもその理由を知りたい。
でも、それは恐らく応えてはもらえないことも、よく分かっている。
こんな気持ちのまま月曜日に会社で高橋さんと、どうやって顔を合わせればいいんだろう
その時の重たい空気と高橋さんの漆黒の瞳の鋭い視線を思い出したら、また涙が溢れてきた。
何もする気になれない。 何も食べたくない。
ずっと高橋さんの帰った後、その時のことを思い出しながら部屋から一歩も出ずにいる。
何故、あの時……。
高橋さんが体を欲しがった時、どうして拒んだりしたんだろう。 悔やんでも、悔やみきれない。 想い出しては、後悔ばかりしている。
会いたい……高橋さんに。
月曜日。 その会いたい一心で、重過ぎる心と気怠い体を引きずりながら、会社へと向かった。


