「キャッ!」
いきなりガシッと脇腹を掴まれ、抱き抱えられると体が宙に浮いた。
でも、直ぐにその人が誰だか分かった。
仄かに薫る、この香り。
間違えるわけがない。
抱き抱えられたままその広い胸の中から高橋さんを見上げた途端、抑えてきた感情と堪えてきた哀しみが一気に溢れ出し、痛さも加わって涙が流れた。
「大丈夫か?」
その優しい声に余計喉の奥が苦しくなって、声も出ないまま黙って何度も頷く。
ほんの僅かな時間、無言のまま見つめ合っていたが、高橋さんが私を抱っこしたまま歩き出し、交差点を曲がった所に停めていたらしい車の助手席のシートを倒し私を乗せた。
先ほど、車に寄りかかりながら泣いていたかもしれない高橋さんの瞳は、自分の涙のせいで滲んでよく分からなかった。
高橋さんは、運転席側にまわり車に乗ると、ルームライトを点けて直ぐに私の膝の傷口を見た。
自分の膝が、どうなっているのか。 車が迫って来ていたから気が動転して見る暇もなく、ただ痛くて膝を押さえていただけだったので改めて見て驚いた。
履いていた部屋着のズボンの膝部分が思いっきり破け、血が滲んでいる。
スーッと、血の気が引いていくのが分かった。
「見るな。 見ない方がいい」
高橋さんは、左手で私の両目を塞いだ。
ひんやりとした高橋さんの左手がとても冷たく、でもそれが気持ち良く感じられて落ち着けた。
高橋さんがポケットからハンカチを出して、差し出した。
「シートベルトだけしろ。 あと、右手を拭いてからハンカチの面変えて膝にあてておけ。 お前の家に、救急箱はあるか?」
救急箱……。
「どっちなんだ?」
高橋さんが、私の顔をジッと見た。
いきなりガシッと脇腹を掴まれ、抱き抱えられると体が宙に浮いた。
でも、直ぐにその人が誰だか分かった。
仄かに薫る、この香り。
間違えるわけがない。
抱き抱えられたままその広い胸の中から高橋さんを見上げた途端、抑えてきた感情と堪えてきた哀しみが一気に溢れ出し、痛さも加わって涙が流れた。
「大丈夫か?」
その優しい声に余計喉の奥が苦しくなって、声も出ないまま黙って何度も頷く。
ほんの僅かな時間、無言のまま見つめ合っていたが、高橋さんが私を抱っこしたまま歩き出し、交差点を曲がった所に停めていたらしい車の助手席のシートを倒し私を乗せた。
先ほど、車に寄りかかりながら泣いていたかもしれない高橋さんの瞳は、自分の涙のせいで滲んでよく分からなかった。
高橋さんは、運転席側にまわり車に乗ると、ルームライトを点けて直ぐに私の膝の傷口を見た。
自分の膝が、どうなっているのか。 車が迫って来ていたから気が動転して見る暇もなく、ただ痛くて膝を押さえていただけだったので改めて見て驚いた。
履いていた部屋着のズボンの膝部分が思いっきり破け、血が滲んでいる。
スーッと、血の気が引いていくのが分かった。
「見るな。 見ない方がいい」
高橋さんは、左手で私の両目を塞いだ。
ひんやりとした高橋さんの左手がとても冷たく、でもそれが気持ち良く感じられて落ち着けた。
高橋さんがポケットからハンカチを出して、差し出した。
「シートベルトだけしろ。 あと、右手を拭いてからハンカチの面変えて膝にあてておけ。 お前の家に、救急箱はあるか?」
救急箱……。
「どっちなんだ?」
高橋さんが、私の顔をジッと見た。


