夏休み明けから藤くんも私もバイトを始めた。
藤くんはピザ屋で私はカフェ。
会える時間は減ったわけだけど、藤くんも私も平気だった。

22時、部屋で課題をやってると電話が鳴った。
藤くんからだ。

「もしもし」
「もしもし、今来月のシフト書いてたんだけどさ三連休のどこかで旅行行かない?」

カレンダーに目をやると、確かに来月は三連休がある。

「うん、行こう」

私は思い浮かべた。

きっとこれからの未来、私は藤くんと色を塗っていく。
見えない、見たこともない世界を二人で歩いて行く。

そしてあの日見たマジックアワーの夕焼けのような景色を共有するんだ。

いつまで続くか分からない私たちだけど、きっといつか大人になっても思い出すような景色を二人で観るんだ。

ゆっくりと川のようにたゆたいながら、ゆらゆらと。