私は口元に笑みを浮かべながら、そういえばテーブル見つけたのかな、と気にしながら店内に視線を投げると中央のテーブルにちょこんと座ってる姿が目に入った。

藤遼平。

高校時代、晴人が「ふじ」と呼んでいた人。直接喋ったことはほとんどなかったけど、顔と名前は知ってる。

晴人とは3年になってすぐ別れたから、「ふじ」の進学先なんて知るわけもなかったけど、ここだったんだ、と気付く。

なんとなく文系の同レベルのところにいそうだな、という感覚は夏休みの補講を受けてる時にその姿を見つけて気付いていた。

でも同じレベルの大学なんてたくさんあるし、この特徴も何もない人数だけが取り柄の大学を選ぶ確証なんて何もなかった。

彼のテーブルのさらに隣のテーブルに紗里の姿を見つける。紗里はすっかり先輩達との会話に夢中で私になんて気付かない。

あーあ、つまんないな。

なんて思いそうになる気持ちを押し殺して、私は目の前の先輩に目を戻す。

あ〜やんさんとてつじさんは二人で盛り上がっているだけで、他の席にはまだ誰も座る様子がない。