お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「俺……三石の番号、知らないけど」

「あ、そうだったね。なら、今ここで交換しよっ」

「!」


更に深まる赤――冬なのに、夏の太陽にあてられたみたく顔が色づいている。

勇運くん、どうしちゃったんだろう。やっぱり私の家で休んだ方が……!


「スマホ、出して。操作してもいいか?」

「え、あ、はい! もちろん」


私のスマホと、勇運くんのスマホを同時に操作する勇運くん。すごく器用……。

今まで勇運くんがモテるって聞いたことあるけど……なるほど。これは確かにモテるよ。こんな優しい人、滅多にいないもん。


――手、借りるぞ


一緒に名前を書いた時の事を思い出して、心が温かくなる。勇運くんが書いてくれた私の字は、きっと、ずっと忘れないだろうな。