お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

自分のダメさを改めて痛感すると、ダメージが大きい。だけど勇運くんは、肩を落とす私の隣で――クッと顎を持ち上げ、空を見た。


「お前が、あそこで逃げたくなさそうだったから」

「え?」

「お前から”逃げたくない”って声が聞こえた気がした。”戦ってやる”ってな。

だから、一緒に名前を書いたんだ」

「!」


確かに、あの時の私は……そう思っていた。


――ここで引き返したくなかった
――もう私は、あの音に怯えたくない


まさか、それが勇運くんに伝わっていたなんて。勇運くん、スゴイ……。

目をパチクリさせる私を見て、勇運くんは目を細めた。それは、とても柔らかい笑み。


「過去の自分を悔いるのは悪くない。俺だって、悔いて凹んでの連続だ。

でもな――過去があるから、今もあるんだ。新しい希望を持てるんだ。

今、お前にとっての光って何だよ?」

「!」


その時。

頭の中で、守人さんが浮かんだ。