お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「私がお兄さんを気になってるって、バレてる……?」

「……むしろ、」


バレてねーと思ったの?


と呆れた顔で返され、私の顔はタコの色。「生意気ですみません!」と、すかさず頭を下げた。


「こんな私がお兄さんを好きになるって……ダメだよね。たった一度だけ助けてもらったからって……。ごめん、身の程を弁えなきゃ」


へへと、眉を下げて笑った私に……勇運くんは、またコツンと。私の頭を、グーで軽く小突いた。


「”こんな私”って言うけど、今のお前はカッコイイよ」

「え、私が”カッコいい”? そんな事ないよっ」


だって、自力では成希から逃げられなかったし。

過去を思い出すだけで保健室に運ばれちゃうし。

交番で書類を見ただけで、目が開けられないし。


カッコイイどころか、私の良いところって、何もない気がするよ……。