お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

守人さんは守人さんで、シュウウという音と共に、自身に入りすぎた空気を抜いていく。

いい意味で脱力した部下を、柴さんはメガネの奥から、チラリと盗み見た。

そして――


「公序良俗違反になりませんように」


誰にも聞こえないよう、小さな声で呟く。

すると同じ時間、慌ただしい声が無線から響いた。


『機捜*より連絡。マル被のツレ*発見、犯行の仲間と見て間違いなし。現逮*』


犯人は逮捕されたと連絡が入る。

すると、静かな車内に漂う空気――それはほんの少し、柔らかいものになったのだった。


(機捜・きそう…機動捜査隊)
(ツレ…友達)
(現逮・げんたい…現行犯逮捕)