お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「勇運くん?」

「あ、いや……何でもない。ってか、何が”送ってあげること”だ。余裕な態度が、ムカつく」

「わ、私は一人で帰れるから、大丈夫だよ?」

「……」


必死な顔の私を見て、勇運くんは僅かに口角をあげた。そして「ばか」と。私の頭を、コツンと小突く。


「さっきの聞いたろ? 犯人の仲間が逃走中だって。変な奴に会わないよう、急いで帰るぞ。家はどこだよ?」

「え、でも……」

「おー、こっちか」

「は、反対だよ! 勇運くん待って~!」



一方。



けたたましいサイレンを鳴らしながら、緊急走行するパトカー。

車内は無言……だったけど、隣で運転している守人さんを見て、柴さんが一言つぶやく。