お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

ビシッ


「こんにちは。何かお困りごとですか?」


キレイな敬礼で、私たちに挨拶をしてくれた。指先まで力が入ってるのが分かる、すごい……。


「こ、こんにちは。あの……」

「はい」

「さ、サインを……」

「……」


するとメガネのお巡りさんは、ボールペンを握る手に力を入れ、何やら書き始めた。

すぐに終わったようで、椅子から腰を浮かせ、私たちの所までやって来る。


「どうぞ」

「えと、これは……」


差し出されたのは、一枚のメモ。手のひらほどの白いメモ用紙には、縦書きで「柴 憲」と書かれていた。


「しば、けん……柴犬?」


瞬間、頭の中でシッポをフリフリ振る柴犬が思い浮かぶ。かわいい……。

でも、なんで柴犬?