お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

『でも、一人だとねぇ……』

「ちょうど帰り道だし、大丈夫だよ!」

『う~ん……』


悩むお母さん。だけど、電話の奥から「三石さん、ちょっと」と、会社の人の声が聞こえる。


『そこまで言うなら、一人で寄ってみる? もしも保護者同伴でって言われたら、お母さんと行こうね』

「分かった、ありがとう!」

『それじゃあ何かあったら連絡してね』


最後の方は、少し駆け足で喋ったお母さん。通話が終わり、私は「ふぅ」と息を吐く。


「勢いで”行く”って言っちゃった。大丈夫……、だよね?」


交番の前は何度か通った事があっても、中に入るのは「あの日」以来。


成希の事を思い出すだけで、保健室にお世話になった私なのに……。

中に入れるかな?
それも、一人で。

ポットから出る蒸気みたいにモコモコと、不安が大きくなる。

だけど……

不安を跳ね飛ばすように、グッとこぶしを握った。