「お前と出会えて、俺も……そして兄貴も救われた。幸せだよ。俺たち兄弟は、幸運だ」
「っ、……」
その時、お父さんのお墓が目に入る。
「一葉家の墓」――と掘られた文字を見て……ふと、ある事を思った。
「私の苗字……覚えてる?」
「忘れるかよ、”三石”」
「ふふ、うん。そう」
勇運くんは、さっき、私と出会って「幸運」だと言ってくれた。
だけど、それは――私の力だけじゃない。
「私、小さな頃から四つ葉のクローバーを探すのが下手だったの」
「……いきなりだな」
「うん。でも聞いて」
ふふ、と笑った私に、勇運くんは口をへの字にしながら耳を傾けた。



