――警察官なんだろ、前をみろ。兄貴の目に写ってるのは、正義じゃないのかよ
――弟を信用しろ。兄貴が戻って来るまで、死にはしないって
勇運の言葉がなければ、僕は動けなかった。警察官として、間違った行動をしていたと思う。
あの時の僕を、勇運が正しい道に導いたんだ。僕に勇気を、運んでくれたんだよ。
「ねぇ、勇運」
「なんだよ?」
ありがとう、って。そう言いたいけど……
冬音ちゃんの隣にいる勇運に、この気持ちを素直に伝えるのは、なんだかしゃくだから。
「……やっぱり、」
教えてやらない。
兄のプライドとして、しばらくは僕の胸の中だけに、とどめておくことにする。



