お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する


――迷子にならないように。ほら、人も多いしね

――手は、もう……繋ぎません

――うん。それがいいよ。これからは勇運に握ってもらいなね



あの時、守人さんは、どんな表情をしていたんだろう。どんな気持ちで、私の手を諦めたんだろうか。

……過去には戻れないし、あの時の守人さんの表情を見られる日は来ない。


だけど、もし。

もしもあの時。



守人さんが、今みたいな表情をしてくれていたら――



「ねぇ、冬音ちゃん」

「……はい」

「僕は、これからも頑張るよ。だけど、自分の本音を隠すことを頑張るんじゃない。これからは……

冬音ちゃんが、もう一度僕に振り向いてくれるよう頑張っていきたい」

「! 守人さん……」



今みたいに泣きそうで。だけど優しく微笑んで、たまにクシャって顔が歪んで。

あの遊園地の最後の時。

守人さんが、こんな顔をしてくれていたら……あの日の私は幸せだったって。間違いなく、そう思える。