「勇運くん……がんばれ、がんばれっ」
ねぇ、勇運くん。
あの日、私は、あなたのお兄さんに助けられたんだよ。
守人さんの姿を見た時、お巡りさんが来たって分かった時。
私は「助かったんだ」って安心して、心の底から力が抜けたのを覚えている。そして、生の実感を取り戻したのを覚えている。
勇運くん。
今、勇運くんにとって、私がそんな存在になれていたら嬉しい。
私を見て、絶対にここから出るって。そんな生きる希望を持ってほしい。
だから諦めないで。諦めなければ、絶対に出られるから。
二人で一緒に、この暗闇から抜け出そう――
「あの日……」
「え」
その時、勇運くんが口を開いた。
勇運くんのいう「あの日」とは、私が路地裏で守人さんに助けられた日。
なんと、勇運くんも私と同じ日を思い出していたのだ。



