「なんでもかんでも我慢しやがって。バカな兄貴だな」
でも……だからさ、兄貴。
そんな我慢強い兄貴だからこそ、俺は頼みたいんだ。
「がれきは取れただろ? なら、もう子供を出せるよな。早く連れて行け」
「!」
俺を連れて行きたいと思う兄貴の気持ちは分かる。家族だもんな。
だけど、今は我慢しろよ。だって兄貴は、警察官だろ?
だけど兄貴は、首を縦に振らなかった。
「お前を一番に連れて行くよ、勇運」
「ダメだ。子供は意識がない。もしかしたら頭を強く打っているかもしれない。優先順位は、子供が上だ」
「っ!」
淡々と言ってのける俺。だけど、そんな俺とは反対に。
兄貴は、思い切り顔を歪めた。



