「あ、おかーさん」
「お母さん! 来てくれたんだね」
「うん。冬音、元気そうで良かった」
私たちを、優しい目で見るお母さん。
お母さんに挨拶をしようと、勇運くんは立つため足に力を込める。だけど、それをお母さんが止めた。
「あなたが勇運くんね? パパから話を聞いているわ。冬音を守ってくれて、本当にありがとう」
「え、あ……いえ、俺は」
顔を見て話したいのに、お母さんが勇運くんの背後に立ち、さらには勇運くんの両肩を押さえるものだから……勇運くんはなすすべなく、座ったままお母さんの話を聞く。
「今は夏海もいる事だし、無理しないで座っていて」
「! それ、どうして……」
「ごめんね、パパから教えてもらったの」
「……そうですか」
ならお言葉に甘えて、と。勇運くんは本当に抵抗するのをやめて、座ったまま私と夏海を見た。



