お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「ねーちゃん、にーちゃん動かなくなったよ?」

「き、きっと無理しすぎたんだよ! 勇運くん、しっかりっ!」



勇運くんに近づくと、石像みたいに固まったまま、ピクリとも動かなかった。

やっぱり、完璧に子供嫌いを克服したわけじゃないと分かり、急いで二人の距離を空ける。ベッドから遠い入口近くにパイプ椅子を置き、勇運くんに座ってもらう事にした。



「夏海、いい? この線から向こうに行っちゃダメだよ? おねーちゃんとお話しようね」

「え~。俺、にーちゃんと話がしたいんだけど」

「そんなこと言わないで。おねーちゃんも、夏海とお話ししたいの」

「ちぇ~」



「……」



いつもの私たちの、なんてことない会話。その光景を、だんだん魂が戻って来た勇運くんが、静かに見つめていた。

すると背後でガラッと音がして、スライドドアが開く。立っていたのは、お医者さんと話が終わった、お母さんだった。