お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「クソ!」


イライラする俺。そんな俺を、三石の弟が呆然とした表情で見ていた。

その顔を見るに、今「何かヤバい事になっている」という状況は理解しているようで……


キュッ


不安に耐えかねた弟は、俺のシャツを控えめに握った。そして震えながら、小さな口を開ける。


「ねぇ……、にーちゃん」


――勇運くん


「……っ」


揺れる瞳が、俺に必死に話しかけた三石のものとよく似ていて……。自分のした事への後ろめたさに、今更ながら顔が歪む。


「連れ去られたって……。おねーちゃんが、どうしたの?」

「あ……」


電話中は無我夢中で、現実に起きている事を、ありのまま喋ってしまった。すぐ隣に、三石の弟がいるってのに。


「知ってるなら、おしえて!」

「三石は……お前の、ねーちゃん、は……」


なんとか弟に目をやりながら、喋っていた――その時だった。