お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

プルル――プッ


「おねが……、助けてっ!!」

「静かにしろ!」

「んーっ!」


叫んだ私の口を急いで手で塞いだ成希は、もう一方の手で、私からスマホを奪い取る。そしてブンと音がするほど、思い切りスマホを遠くへ投げた。

その時、私の耳の横を通ったスマホ。

そこから、


あの人の声が聞こえた。



『「お前は、よく頑張った」』



それは間違いなく、私が電話をかけた相手。

だけど今、スマホからじゃなくて、
すぐ近くで聞こえたような――


ドガッ


「ぐわぁ!?」


私の上に乗っていた成希が、突然に吹っ飛ばされる。

すごい力だったのか、成希は何度か回転した後、コンクリートの壁にぶつかり、しばらく動けずにいた。