お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「つーかまえた~」

「……っ!!」


この格好に付け加え、すぐ目の前に成希の顔――ついに恐怖で涙を零す私に、成希は更に顔を近づけた。


「世の中な、強いもん勝ちなんだよ。
もちろん、弱いもんが悪い。

自分の弱さを思い知れ、冬音。
そして後悔しろ。
ま、後悔したところで――


誰も助けちゃくれないがな」


「〜っ、それでも……!」


最後の望みで、ポケットから素早く出したスマホを操作する。操作と言っても、リダイヤルを押して、電話をかけるだけ。

だけど手が震えて……目的の場所をタップ出来たのは、まさに奇跡に近かった。


「電話……? おい冬音!!」

「あ、!」


まさか私が今、電話で助けを求めるとは思わなかった成希は、電話を止めさせるために私の手首を強く握る。


だけど、その時。