お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

え……なに。
今、どういう状況……?
成希は、どこに行ったの?


向こうにたばこって……「向こう」は、廃墟の奥だよ。まさか、この廃墟に何度も足を運んでるって事?


「でも、今なら……」


逃げられるかも――そう思って、足を動かした。その時だった。


「まさか、逃げようって思ってんじゃないよな?」

「っ!」


どこからともなく響いて聞こえる、成希の声。恐怖で体がビクリと跳ね上がる。震える唇から、やっとの事で「ちがう」と返事が出来た。

動いたら、成希が何をしてくるか分からない。


それなら――


ポケットから、コッソリとスマホを出す。スマホを没収されなかったのは幸いだった。


私が出かける時、お母さんが毎日「充電は?」と言ってくれたおかげで、寝る前に充電する習慣がついた。だから夕方の今だって、充電がバッチリ残っている。あとは電波……。

見ると、きちんと三本立っている。
良かった、これなら繋がる!