お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

もしかすれば、廃墟を抜けた先に、道が広がっているかもしれない。
いざとなれば、来た道を戻ればいい。


常に自分の逃げ道を考えながら、一歩ずつ進む。


すると――廃墟のちょうど真ん中に来た時。成希の足が、ピタリと止まった。


「俺はなぁ、あれから散々だったよ。警察に自白しろってしつこく言われて……まるで拷問みたいだったな」
「……っ、そう」


先に私に拷問を与えた成希が、何をのうのうと言っているのか――

常に自分第一で物事を考え喋っている成希に、吐き気にも似た、ザラリとした重たい感情が胸に募る。


「だから、下げたくもない頭を下げて……散々に謝ったさ。おかしーよな、変な話だよな」
「な、なにが……?」

「何がって、普通に考えて変だろ。
だって……

俺、何も悪い事してなくね?」

「――っ」


瞬間、頭が真っ白になった。


え、今……
成希は、なんて言った?


寒空の下、嫌がる私を、自分の欲望のまま無理やり従わせようとした、あの行動を――

一つも悪いと思ってないの?