「夏海。お姉ちゃん、お友達とちょっとお話するから……先に、ゴールまで走っててくれる?」
「えー! あ、まさかお姉ちゃん。負けるのが嫌で俺を押したの? ひどいよ!」
「うん……、」
ごめんね――
何とか笑顔を作って謝ると、夏海は「俺がいちばん~!!」と走り、この場からいなくなった。
夏海が幼くて助かった。素直な子で良かった。
夏海、ゴールまできちんと行くんだよ。
絶対に、走り切ってね――
「お別れはすんだか? なら大声出すな。乗れ」
「……っ」
足が震えて、今にもこけそう。そうだ、いっそ私も逃げるっていうのはどうかな。成希は車だから、細い路地にでも入れば……
と考えていると。
プッ
高い音で、クラクションを鳴らされる。それは間違いなく、私への警告。



