勇運くんは、子供が嫌い。


その事が分かっただけでも、私は、勇運くんの接し方が分かった気がするし……。


――俺の事は気にするな


勇運くんも、自分に触れられたくないから、こうやって線引きをしたんだと思う。だったら、私は勇運くんの気持ちを汲んで、これ以上近づくのは止めた方がいい。


「って、思っているのにな」


頭の中に浮かぶ、勇運くんが書いてくれた私の名前。
今の私は、あの日の名前のように――まだシャンと立てていない気がした。





「ねぇ莉音ちゃん」

「なんだい、冬音くん」


「この状態は、何ですか」

「何を今更。尾行だよ」


び、尾行――?


首を傾げる私の横で、なぜか莉音ちゃんは眼鏡をかけていないのに、カチャリとフレームを上げるマネをした。なんだかサマになってるのが不思議。