学校公認カップルの痴話喧嘩に遭遇してしまった。





***




ベッドに仰向けで寝転び、彩金は手に入れたばかりの連絡先をにやにやと眺める。

「俺をダシに使うんじゃねえ」

「おかえりー」

ワンルームでくつろぐ彩金に、帰ってきたばかりの東銀雅は怒りを向ける。
靴を脱ぐ彼の身なりは、少々乱れていた。
彩金は起き上がり、スマホを見るのをやめて、首をかしげた。

「なんの話?」

「人目につくところであの平凡と関わって、どうなるかくらい分かってただろ」

「んー?」

「あの平凡が女子に囲まれてんのを楽しんで見てると思ったら、颯爽と助けに入って、何がしたかったんだ。ったく、挙げ句の果てに悪役を俺に押しつけやがって」

「あー、あの子たち、銀雅のところに行ったんだね」

「行ったんだね、じゃねえ。ったく、大変だったんだぞ。彩金と別れたのかとか、だったら自分たちとつきあえとか好き勝手いいやがって」

まぁ、なんとか逃げてきたけどよ。
と、こぼす東銀雅はよほど酷い目に遭ったのか彩金の隣に腰掛け、遠い目をした。
拗ねる弟をおだてるのも兄の仕事。

「ありがと、大好き銀雅」

「おうよ。その大好きな俺から命令だ。平凡に構うな」

「嫌だよ。氷晶ちゃんは愛してるから」

「あんな平凡のどこがいいんだ……」

「ボクだけが知ってたらいいの」

見る目のない弟は放っておき、彩金は再びスマホに視線を落とし、初メッセージは何にしようか考えるのだった。