***
ベッドに仰向けで寝転び、彩金は手に入れたばかりの連絡先をにやにやと眺める。
「俺をダシに使うんじゃねえ」
「おかえりー」
ワンルームでくつろぐ彩金に、帰ってきたばかりの東銀雅は怒りを向ける。
靴を脱ぐ彼の身なりは、少々乱れていた。
彩金は起き上がり、スマホを見るのをやめて、首をかしげた。
「なんの話?」
「人目につくところであの平凡と関わって、どうなるかくらい分かってただろ」
「んー?」
「あの平凡が女子に囲まれてんのを楽しんで見てると思ったら、颯爽と助けに入って、何がしたかったんだ。ったく、挙げ句の果てに悪役を俺に押しつけやがって」
「あー、あの子たち、銀雅のところに行ったんだね」
「行ったんだね、じゃねえ。ったく、大変だったんだぞ。彩金と別れたのかとか、だったら自分たちとつきあえとか好き勝手いいやがって」
まぁ、なんとか逃げてきたけどよ。
と、こぼす東銀雅はよほど酷い目に遭ったのか彩金の隣に腰掛け、遠い目をした。
拗ねる弟をおだてるのも兄の仕事。
「ありがと、大好き銀雅」
「おうよ。その大好きな俺から命令だ。平凡に構うな」
「嫌だよ。氷晶ちゃんは愛してるから」
「あんな平凡のどこがいいんだ……」
「ボクだけが知ってたらいいの」
見る目のない弟は放っておき、彩金は再びスマホに視線を落とし、初メッセージは何にしようか考えるのだった。

