学校公認カップルの痴話喧嘩に遭遇してしまった。


「あ、彩金ちゃん、今ね」

「ボク、キミに彩金ちゃん呼びを許した覚えはないんだけど」

「いいじゃん、彩金ちゃん」

「許してないんだけど」

「っ………」

さすがにカースト上位女子より、天才的な超絶美少女の方が強かった。
私の襟首から手を離し、後ずさる彼女。
入れ替わるように、怖い顔した彩金が私の前に立ち、眉を寄せながら襟元を直してくれた。

「遅くなってごめんね。大丈夫だった?」

「うん、ありがとう」

至近距離の美少女にドギマギしてしまう。
綺麗になった襟元を眺めて、ひとつ頷いた彩金は私の腰を引き寄せて、彼女達に見せつける。

「氷昌ちゃんはボクの大事な人だよ」

彼女達の表情が、なんでアンタなんかが、と言っている。

「キミたち、銀雅のファンだよね。銀雅はあげるから、二度と氷昌ちゃんに手を出すな」

いつもの可愛い笑顔からは想像のできない、ドスの効いた声。

「……っ!」

「いこっ!」

彩金の迫力に押し負けた女子集団は走り去った。
姿が完全に見えなくなってから、彩金は私の体をぺたぺた触る。

「大丈夫? どこも怪我してない?」

「うん、ありがと、大丈夫」