授業が別とはいえ、天井からぶら下がるネットで区切られるだけで場所は同じ。
この日のできる組はバスケの試合、できない組は跳び箱だった。
跳び箱の順番待ちで並んでいると、つい、激しい動きのバスケに目がいく。
スリーポイントシュートを決めた彩金が、はじける笑顔で手を振ってきた。
「キャアアァァァァ！」
跳び箱組から黄色い悲鳴があがった。
私は「みてたよ」と小さく手を振りかえした。
気付いた彩金は、ウインクして試合に戻る。
東銀雅は別のクラスでここにはいないが、ファンサを受けなかったできる組にいたファンに睨まれた気がする。
思えば、彩金に友達らしい友達がいるところを見たことがない。
私のように嫌われてるというわけではなく、東銀雅のガードが固かったのだと思う。
あのナイト様は誰よりも彩金の近くにいて、彩金に近づく者を許さなかったから。
てことは、彩金さんは今、初めて出来た友達に依存しているってことかな。
そう考えれば、外野の視線もなんのその。
飽きるまで付き合うのもいいかもしれないなんて思ってしまう。
