昼休みが終わる頃、遥さんからメッセージが届いた。


『今夜、早く仕事が終わりそうだから外食にしない?』


 思わず「わっ」と声がもれて、となりの小春が「なぁに?」と覗き込んできた。

 急いで隠そうとしたけど、とっさに腕を掴まれてしまった。


「わお、デートのお誘い。いいなー、やっぱり社会人と付き合うっていいよね。大人のデートいいなあ~」

「小春、誰にも言わないでよ」

「言わないけど、たぶんバレバレだと思うよ」

「えっ? どうして」

「いろは、顔に幸せがめっちゃ出てるもん」

「うそ」


 ぼっと熱くなる頬を手で押さえる。

 幸せだよ。結婚がこんなに幸せなことだなんて、理想以上の人に出会えたということだよね。

 それなのに、私はキスをしてもらえなかっただけで悩んじゃうなんて、どうかしてるよ。


『はい。楽しみです』


 私はメッセージとともにわくわくスタンプを送った。

 そうしたら、了解スタンプが帰ってきた。


「いやーん、ラブラブじゃーん」

「えへ、そうかな」

「この調子でもう一組の推しカプ、できる?」

「えっ!?」


 小春はにやにやしながら次の依頼までしてきた。

 でも、今ならなんでも描けそうだよ。