ふと目が覚めるとカーテンの隙間が明るく見えた。
「朝……?」
変な夢を見たような気がするのだけど、目が覚めた瞬間に忘れた。
不思議な香りがする。柑橘系の大人の香りだ。
私はハッとして上体を起こし、部屋を見渡した。
「遥さんの……部屋」
そうだ。私はもう彼と一緒に暮らしているんだ。
しかも結婚して私はもう妻なのだから。
「朝ごはん!」
サイドテーブルのスマホを見たら、もう7時を過ぎていた。
アラームが聞こえなかったよー!
急いで着替えて寝室を出ると、すでにきちんと服装を整えた遥さんとばったり出くわした。
「おはようございます!」
慌てて挨拶をすると、彼は微笑んで「おはよう」と返してくれた。
「ごめんなさい。寝坊しちゃって……」
「もう少ししたら起こしに行こうと思っていたよ」
「……すみません」
初日から失敗しちゃったよ。
明日からは頑張って起きよう。
「朝食、食べる?」
「え、はい……」
「よかった。一応作ったから」
「えっ!?」
まさかの展開。
朝目覚めたら夫が朝食を用意してくれているなんて。
ダイニングテーブルにはカリカリに焼いたベーコンと半熟卵の目玉焼き。
フルーツとクロワッサンが用意されていた。
「コーヒーでいい?」
「はい。あ、私が……」
と言いかけたけれど、遥さんは手で制止して私に座るように促した。
至れり尽くせりだよー。
