18婚~ヤンデレな旦那さまに溺愛されています~


「あ、の……待っ……!」


 私はそれ以上されるとどうにかなってしまいそうになり、慌てて彼から離れた。

 呼吸を整えながら遥さんを見ると、彼は涼しい顔をしていた。

 まるで何もなかったかのように、平然としている。


 私だけが、体がおかしくなってしまったみたいに、熱くて、呼吸も荒くて、足が震えている。

 膝から下に力が入らなくて、今にも転んでしまいそうだった。


「ごめんね。ちょっとやり過ぎたかな」

 遥さんはあまり悪びれた様子もなく、真顔で淡々と謝った。

 私は心臓が破裂しそうなほど、どくどくと大きな音を立てている。


「だ、大丈夫です……ちょっと、びっくりしちゃって……」

「そうだよね。でも、そのうち慣れるよ」


 そのうち慣れる……。

 そうしたら、私はどうなってしまうのだろう。


「さあ、もう寝よう。明日は早いよ」

 遥さんはいつもの優しげな笑顔でそう言った。

 心なしか安堵して、私は口もとが緩んだ。


「じゃあ、おやすみ」

 と遥さんが微笑んで言った。


「はい。おやすみなさい」

 私も笑顔で挨拶を返した。


 それから寝室に入ると、私はドアの前で立ち尽くしてしまった。

 暗い部屋の中で、私はぼんやりとしながら唇を指で撫でた。


「い、今までで一番……すごかった」


 どう表現すればいいのだろう。

 絵に描いたような綺麗な感じのキスとは違う。

 まるで、体の中の全部、見られているようなキス。


「わあぁ……」


 私はとなりに聞こえないくらいの小さな悲鳴を上げた。