その夜はふたりで料理を作って食べた。
加賀さんが煮物を作ってくれていたので、追加で遥さんは炒め物を、私はお米を炊いて味噌汁を作った。
それらをテーブルに並べてふたりで食べた。
「ごちそうさまでした」
「美味しかったね」
「はい!」
ふたりで作って食べるなんて、想像もしなかった。
短い期間だけど料理を練習しておいてよかったと思う。
掃除は適度にして、洗濯は夜にしておいて浴室乾燥機で乾かしておくのだと遥さんが言った。
なので、私はそのとおりにすることにした。
その夜、シャワーを浴びたあと、私は由希ちゃんがプレゼントしてくれた可愛いパジャマワンピースを着た。
そして、私たちはそれぞれの部屋で寝ることになった。
私は寝室で、遥さんは書斎で。
「あの、本当に私がひとりで使ってもいいんですか?」
訊ねると彼は口もとに笑みを浮かべたまま、私をじっと見つめた。
「もしかして寂しい? 一緒に寝る?」
「えっ……!」
思わず固まってしまったら、彼が声を出して笑った。
「急に男と寝るのは緊張するだろうから。夏休みに入るまではゆっくり休んで」
あ、そうか。
遥さんは気遣ってくれているんだ。
私が男の人に慣れていないから。
「はい、ありがとうございます」
笑顔でそう返すと、彼はなぜか急に真顔になった。
そして、すっと手を伸ばしてきた。
