「本物のガラスじゃ、挙式のときに履けないからね。この店のデザイナーと相談して、なるべく近い形で作ったんだよ」

 遥さんはスタッフから靴を受けとると、私の前に膝をついた。


「どうして、まさかあんな小さい頃のことを……」

「覚えているよ。さあ、足を出して」

 彼は私の片足に手を添えて、靴をそっと当てた。


「君は魔法でドレスを着て、城へ行くと言った」

 彼はそう言いながら、私の足に靴を滑らせるように履かせていく。


「そこで王子に会って結婚して、ずっと一緒にいると言った」

 靴は硬そうな見た目とは違い、やわらかくて履き心地がいい。


「そして、ガラスの靴を履くと言ったんだ」

 透明の宝飾がキラキラ光るその靴は、私の足にちょうどよくフィットした。


「まあ、ぴったりですね。よくお似合いですよ」

 とスタッフの人に言われた。


 両方履いてみると、不思議な感じがした。

 本当にぴったりで、まるでシンデレラがこの靴の持ち主として証明されたときのシーンのようでドキドキした。