部屋の中が不気味なほどしんと静まった。

 私はおじさまの前で遥さんにくっつかれて、恥ずかしくて顔が燃えるほど熱くなった。

 それなのに、当の本人は冷静だった。


「罪を償ってくれるんですか?」

 と遥さんが訊ねた。


「私にできることなら、なんでもしよう」

 とおじさまが答えた。


「それなら、もう俺の人生に関わらないでほしい」


 それを聞いたおじさまは、何も言わずに俯いた。

 けれど、遥さんは意外なことを口にした。


「秋月家を継ぐかどうかは俺が決めることであって、あなたじゃない」

 おじさまは驚いて顔を上げた。


「遥……それは?」


 おじさまが驚くのも無理はない。

 縁を切ると断言していた遥さんが、跡継ぎになるかを自分で決めさせろというのだ。

 遥さんは表情を変えず、ただ自分の要望を口にした。


「勘違いしないでほしい。俺が動くのはあなたのためじゃない。すべて自分と大切な家族のためです。だから、口出しは一切不要、ということです」